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だるっと。

好きなものを好きなように、好きなだけ書きます。だるっと日々を送ることに全力。

【映画】ネタバレあり:それでいいのかドクター・ストレンジ【感想】

※この記事では2017年1月27日公開の映画「ドクター・ストレンジ」に関するネタバレが全篇を通して多分に含まれています。鑑賞前の閲覧はお勧めしません。

 

待ちに待ったMCU最新作「ドクター・ストレンジ

深夜帯であるため日付は変わってしまいましたが、本日1月27日(金)、ついに日本でも映画「ドクター・ストレンジ」が公開されましたね!

去年は「シン・ゴジラ」「君の名は」「怒り」など邦画がここ数年では間違いなくトップクラスに豊作の年で、洋画も「デッドプール」や「スートピア」「ファンタスティック・ビースト」などなんだかんだ賑やかな年でしたが。

MCUに限って言えば日本での新作公開は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」の一作のみだったので、待ちに待った!という感じですね。

 ベネディクト・カンバーバッチのカタコトでの「残り物には福がある」とってもチャーミングですね。

そのことわざの通り、待った分だけ期待値を高めまくって映画館へ向かいましたとも。

 

映画館って予告の時点でもうわくわくしますよね。

今年夏の公開が待ち遠しい「スパイダーマン ホームカミング」の茶目っ気たっぷりな予告に始まり、前作にも増してはちゃめちゃ感ある「ガーディアンズオブギャラクシー:リミックス」(ベビー・グルートが思った以上にファンキーで驚きました)に続き。

シアター内が暗くなるといよいよテンションは最高潮に。

 

そうやって高まった気分を、今作品の圧倒的迫力の映像は十二分に楽しませてくれました!

万華鏡のようにぐるぐる回転し、閉じたり開いたりする画面には座っていながら浮遊感を覚えるほどでした。

すごいですね、今の映像技術って。

アメイジングスパイダーマン」を3Dで見たとき、街中をスイングするシーンなんかアトラクションに乗っているようで大変興奮したのを覚えています、それが更に進化しているのですから、ホームカミングの映像にも期待できそうですね!

 

とまあ「ドクター・ストレンジ」のスペクタクル映像技術に関してはもうあらゆる人が言葉を尽くして大絶賛していることでしょうから、これからは私がこの映画を観ていて気になったことをちょっと綴っていこうと思います。

タイトル「それでいいのか」の部分です。

多少否定的な意見になりますので、100%肯定的な感想しか読みたくないという方にはブラウザバックをお勧めします。

 

それでいいのか「ドクター・ストレンジ

自業自得感の否めない魔術師誕生秘話

今作品の主人公ドクター・スティーブン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は腕前は確かだが鼻持ちならない傲慢な性格の天才外科医。

金と名誉を得て守るために治療する患者を選び、「酔っ払い一人を救うだけ」の救命救急を馬鹿にするような嫌な奴です。

とはいえ根っからの悪人でないことは確かですし、キャストのオーラなのか滲み出る教養とチャーミングさからなんとなく憎めない人物です。手術中の助手たちとのやりとりを見ても、毛嫌いされているわけではなさそうでした。

これは「アイアンマン」シリーズの主人公であるトニーとちょっと似ていますね。あちらは人たらし全開ですが。どちらも愛すべきキャラクターです。

 

ですがそんな愛すべきストレンジ先生、悲劇的な事故に遭って外科医としての技術を腕ごと失ってしまいます。

成功者としての道を歩んでいた天才が墜落し、這い上がる物語。やはりアイアンマンが脳裏を過ぎります。

この交通事故がこの物語の全ての始まりになるわけで、アイアンマンの冒頭を考えるといったいどんな悲しく理不尽な不幸が降りかかるのかと、私はひやひやしながら見守っていたのですが。

 

ドクター・ストレンジは峠の夜道という交通事故フラグ立ちまくりなロケーションをよそ見しながら、かなりのスピードで運転した結果、案の定交通事故に遭います。

まずここが一つ気になりました。

完全に自業自得じゃないか、と。

 

確かに崖から飛び出し、あちこちにぶつかりながらものすごい勢いでスピンし落下していく様は目を覆いたくなるほど酷いものでしたし、パンフレットのコラムでは事故の原因となったよそ見が仕組まれたものであった可能性も考察されていましたが、それにしたって。

よそ見運転は常習犯のようですし、あまり同情は出来ないシチュエーションだったことに驚きました。

あれじゃいくら手の神経が完治しなくて可哀想でも、八つ当たりされるクリスティーンへの同情の反動として、ドクターへのヘイトが溜まってしまいます。

あの交通事故については、もう少しなんとかならなかったのか。と惜しい気持ちに。

 

まあ、こういう傲慢な性格のドクターが物語りを通して改心していくから面白いのでしょうけれども。

 

演出がチープすぎるラスボス戦闘

話は大きく飛んで、次に私が気になったのはラスボスのドルマムゥとの対戦シーンです。

師匠の死を経て改心し、ヒーローとして目覚めたドクターはしかし、ドクターであることに誇りをもっているため、例え敵であっても命を奪うことには賛成出来ません。

そこに葛藤し、兄弟子モルドと口論になるシーンもありました(個人的にはここももっと深く掘り下げ、丁寧に描写してほしかったです。他のヒーローたちの苦悩をずっと見てきた身としては、ドクターの場合は葛藤というわりには、描写が少なすぎて薄っぺらく感じてしまったのです。それはともかく)。

 

命を奪えないドクターはどうしたかと言うと、カエシリウスの「時間を超越して」という言葉をヒントに、カエシリウスを飛び越してその裏に控えるドルマムゥの元へ向かい、時間を超越したループ戦法でドルマムゥへ粘り強く直訴し続けたのでした。

なるほどな、と膝を打つ戦法です。

時間を超越した存在には同じく時間を超越した技で以て、医師としての勉強や魔術師としての修行で培った強靱な精神力を武器に、根気勝負へ持ち込む。

自分の精神力に絶対的な自信がないと取れない戦法は、とても彼らしい方法と言えるでしょう。

 

ところでループものの醍醐味の一つに、主人公が苦しい結末を何度も何度も味わいぎりぎり正気を保ちながら目的を達成するため狂気的なまでの回数チャレンジする、その凄まじい「気迫」があると思います。

例えばシュタインズゲートだとかオールユーニードイズキルだとか。

ドクター・ストレンジも光線で全身を焼かれたり謎の物体に刺し貫かれたりを繰り返し、それでもめげずにドルマムゥの前に現れ続けます。

 

が、このシーン、ドクター登場→ドルマムゥに殺される→ドクター復活→うろたえるドルマムゥ→復活という流れが、ドルマムゥの恐ろしい超常存在とされていたにしてはあまりにチープな反応のせいかコメディ調にすら見えるのです。

ドクターは一応殺されると悲鳴をあげはするのですが何度も涼しい顔で、同じポーズで舞い戻ります。

何度も訪れる死の苦痛への恐怖や、負けるもんかという気迫の類は一切見せず、不適な笑みをたたえて。

そしてドルマムゥ、子供のように「なんなんだお前は!」「いい加減にしろ!」と喚くばかり。

 

しかもこの戦法に関して伏線として、最初にドクターが時間を操りカリオストロの書を甦らせた直後、モルドとウォンが「同じ瞬間を永遠に繰り返し存在が消えてしまった者もいる」とドクターを叱っていましたね。

つまりドルマムゥとドクターの戦いはとても危険でギリギリの、緊張感のあるものだったはずです。それなのに。

もしかしたらドクターの人間離れした精神力を表しているのかもしれませんが、最終決戦にしてはあまりに薄っぺらく、気合いのない戦いです。

 

誰も傷つけずに世界を守ろうというドクターの信念の籠もったシーンだというのに、あまりのお粗末さにあれを最終決戦だとは認めたくない自分がいます。

エンシェントワンはじめ魔術師達が必死で遠ざけてきたダーク・ディメンションの支配者とは何だったのか。

 

最早モルドが可哀想に思えてくる、ビール巻き戻し魔法

これはエンドロールの途中に挟まれたおまけ映像についてです。

行方不明の父オーディンを探すためドクター・ストレンジの元を訪れたソー(クリス・ヘムズワース)。

彼をもてなすためにドクターは最初は茶を淹れますが、そのあと魔法で茶をビールに変えています。

そしてソーがジョッキを傾け中身を飲み干す度に、ジョッキは再び魔法で満たされます。

 

私は理解力に乏しいのでもしかしたら誤った解釈をしているかもしれませんが、作中でドクターが学んだ魔術は空間移動や時空を操る能力、何も無いところから武器(物質としての剣や盾の類ではなく、目に見えない魔法の刃物や光の鞭など)を取り出す魔術だったはずです。

ではこのビールはどこから生まれているのか?

 

このおまけシーンでドクターがアガモットの目を装着していたかどうかチェックしそびれたのでよく分からないのですが、ビールが元に戻るのはりんごで実践していた「時間の巻き戻し」によるものなのではないでしょうか。

違うなら違うで良いのですが、もしビールの時間を巻き戻しているのだとしたら、モルドが頭に跳び蹴りしてきても文句は言えませんよね。

 

時間を操ることの危険性のひとつとして、ほんの些細な変化でも時空の歪みやらタイムパラドクスやらが発生し、自然の秩序を侵してしまう。

だからこそ香港の時間を大幅に巻き戻し、カエシリウス達による襲撃を無かったことにしたドクターとそれを受け入れたウォンに対して、モルドは拒否反応を示したのです。

 

香港が陥落していれば世界がどうなっていたか分からない、だからモルドは少々頭が固すぎる、というのには納得出来るのですが、もしビール巻き戻しなんてくだらないことに時間を操る力を使っているのだとしたら、ドクターはとんだ愚か者です。

死んだエンシェントワンもうかばれないでしょう。

 

これについては何も無いところから物を取り出す力の応用かもしれませんし、そもそも全然別の魔法かもしれないのでなんとも言えないのですが。

今後、どれだけ注意を払ってドクターが時間巻き戻しの力を扱うのか、要注意ですね。

 

総評

以上、だらだらと気になったところを挙げていきましたが、(ビール巻き戻し以外は)よくまとまった筋と最先端の技術を駆使した映像は素晴らしかったと思います。

ただ、演出力がいまいちだったのでは。

映像美と物語の面白い見せ方とはまた別物だと思います。

 

キャラクターじたいはかなり好きなので、次にドクターが出る作品はもっと感情移入できて・矛盾のない・盛り上がる作品となることを祈ります。

 

マントくんのかわいさはグルートに匹敵するトップクラスでしたね!